対決!Che-ez! SPYZ v.s eyeplate


(撮影はPSP90IS他いろいろ)


2002年4月、富士写真フィルムAXIA(以下AXIA)から名刺サイズの最薄デジカメ「eyeplate」が発売されました。
昨年秋入手したChe−ez!SPYZ(発売元:NHジャパンホールディングス(以下NHJH))が、その笑っちゃう小ささ
と笑っちゃう仕様で楽しませてくれたので、またぞろ懲りずにeyeplateも購入してしまいました。
(有楽町ビックカメラで¥9,980)
って、これと同じセリフをつい2ヶ月前にも書いたような気がしますが、さて、なんだったかな?(笑)

おもちゃデジカメのレポートも3つ目にもなると、そろそろ飽きてきたので(結局「小さい」とか「軽い」とか「ヘボい
とか似たような感想しか出てこないので)、今回は「対決!Che−ez!SPYZ v.s eyeplate」と銘打って
いろんな角度から両者の優劣を評定してみたいと思います。
その特異な位置付けからとかく比較されることが多そうな両機種、果たして軍配はどちらに。

※掲載写真について
SPYZおよびeyeplateでの撮影写真はすべてVGAモード(640×480ピクセル)で撮影したものをグラフィックツール
でQVGA(320×240ピクセル)にサイズ縮小だけ行い、85%のJPEG圧縮したものを貼ってあります。
他のエフェクトは加えていませんが、SPYZの場合オリジナルがBitMap形式なので手を加える前はもう少しザラザラ
した画質であることを注記しておきます。


<ルックスで勝負>
まずは本体の外見から評価してみましょう。
共に超小型デジカメというコンセプト上もかなり大きなウエイトを占めるファクターです。

1.コンパクトさ

まず筐体のサイズ比較はこんな感じです。
正面から見るとeyeplateはSPYZの倍は面積があるので少々大きく感じますが.....

横から見るとこのとおり。
なんと、薄さはSPYZの1/3程度しかありません。(非撮影時。撮影時はレンズ部が多少飛び出します)
まさに名刺サイズで、ワイシャツの胸ポケットに入れてもぜんぜん違和感なし。
洗濯しちゃっても知らないよ。
SPYZはeyeplateと比べると厚みがあるので、胸ポケットではちょっとゴロゴロ感があります。
まあ、どちらにしてもズボンのポケットなんぞに余裕で収まってしまうのでコンパクトさでは互角といって
よいでしょう。
あえて優劣をつけるなら、薄いのでシステム手帳に挟めたりしちゃうeyeplateの勝ちにしましょうか。
ちなみにeyeplateを背広の胸ポケットなんかに入れていると、定期入れと間違って自動改札で慌てたり
する....のは私くらいか。

2.外見と質感
筐体は共にアルミ製で、おもちゃデジカメとしては高級感があります。
ただ、個人的にはSPYZのアルミの質感が好きなので、色が選べることも加味してSPYZの勝ちとしましょう。

3.軽さ
eyeplateの重さは驚きの35g。SPYZは本体34gですがこれ電池(単4電池×1)の重さが入っていないので
軽さではLi−ion電池内蔵のeyeplateが勝利です。
でも、手に持ってみてもほとんど違いなんてわかりませんけどね。


<機能で勝負>
続いてデジカメとしてのメカ(?)面を中心とする評価です。

4.CCD、レンズ

CCDはSPYZが35万画素、eyeplateが31万画素の共にCMOSセンサー。
4万画素の差は大勢に影響ありませんので、あまり気にする必要なしです。
ちなみにeyeplateはこのクラスのデジカメとしては初のAutobrite(TM)機能搭載CMOSセンサーを使用
しているので、明暗差の大きいシーンにも強いことをうたっています。
撮影画像は後で比較するとして、両者で特筆すべきはSPYZが光量不足だとシャッターが下りない仕様に
なっているのに比べ、eyeplateはどんな暗いところでもシャッターが押せることでしょうか。
そりゃもう、真っ暗闇でも。当然なにも写りませんが。
このへんは好みの分かれるところで、「写んないかもしれないけど、シャッター切っておきたい」って時には
SPYZはお節介野郎ですが、eyeplateで写した暗い場所での写真はほぼまともに写っていないというのも
事実ですので、まあどっちも明るい屋外で使うのが吉でしょう。
ここはひとまず両者引き分けにしておきます。

5.ファインダー

ファインダーはSPYZが本体左上のせり出しおう面レンズ式、eyeplateがせり出し式レンズ部と一体成型で
SPYZが目から10cm以上離して使うのを前提にしているのに比べ、eyeplateは接眼して使う仕様になって
います。
それにしてもeyeplateのフレーミングの合わなさはどうしたことでしょう?
写したいアングル、フレーミングではほぼ写りません。
本体の異常な小ささと軽さから多少ぶれるのはしょうがありませんが、eyeplateはそもそもレンズの向きが
狂ってるんじゃないか
?と思いたくなる乱れぶりです。
それに比べるとSPYZの方は最初「勘で撮るしかないのか」と思わせた見づらい小さなファインダーですが
フレーミングの合い具合はeyeplateに比べれば(あくまで比べればですが)マシです。
ファインダーは意外なことにSPYZの勝利。

6.背面液晶とボタン類

液晶といっても無論画像確認のできるカラー液晶を搭載しているわけではありません。
この大きさでTFTカラー液晶とか積んでたら、それはそれで痺れるほどカッコいいのですが。
白黒液晶表示はeyeplateが表面積の広さに物を言わせて多少情報量の多いものを搭載しています。
操作ボタンもひとつ多いのですが、一つ多いボタンがビープ音の入切にしか使われていないという無駄な
設計でいまいちわけがわかりません。
ただし、SPYZはビープ音が消せませんがeyeplateはボタンひとつで消音することができます。
だからどうだということはありませんが、スパイ用途や別の怪しい用途を考える方にとっては大きなファクター
になる可能性はあります。
SPYZはひとつのメニューボタンとシャッターボタンでモード切替を行うので最初は戸惑いますが、慣れれば
特に問題はありません。
ただ、SPYZは動画撮影のモードまであったりするので、本当はSPYZの方こそもうひとつメニューボタンが
欲しいところなのでした。
一応背面液晶とボタン類はeyeplateの(数で)勝利としましょう。

7.メモリ
搭載メモリはSPYZが8MBのSDRAM、eyeplateが8MBのフラッシュメモリ。
いや、eyeplateに至ってようやく電池残量を気にせずにお家に帰れるようになりました。
SPYZの電池がなくなると撮影データが飛ぶというとんでも仕様も味がありましたが、やはり撮影画像は
電池切れに関係なく保持してくれないと安心して持ち歩けません。
メモリ容量が同じということでか、最大撮影枚数はVGAモードで26枚。
どちらも本体メモリの中ではビットマップ保存されているらしく、JPEG保管の普通のデジカメのように「何枚
くらい写せます」というような曖昧なことは言いません。うむ、潔い。
あ、メモリ勝負はeyeplate不戦勝です。ここは勝負になりません

8.電池
メモリと併せて忘れてならないのが電池です。
SPYZは単4アルカリ乾電池×1でメーカサイトによると連続4時間可動。
eyeplateは内蔵Li−ion電池で連続可動時間はメーカサイトにも掲載されていませんが、まあ似たようなもの
のような感じです。
このところ外出先での電池切れに対応できるように市販のアルカリ乾電池が使用できるデジカメが見直され
つつあるのですが、SPYZは電池を抜くとその場でデータが飛びますので決してトレンドに乗った仕様という
わけではありません。
eyeplateはPCとのUSB接続時に自動的にバス電源供給で充電されるようになっています。
なかなか便利な仕様です。
電池もeyeplateの勝ちでしょう。

9.その他の機能
忘れてはならないのですが、SPYZには「動画が撮影できる」「USB接続でPCカメラになる」といった素晴らしい
おまけ仕様(?)がついています。
動画撮影は一瞬にしてメモリが一杯になるのでほとんど使えませんが、PCカメラ機能はなかなか便利なので
この機能だけのためにSPYZを買っても良いくらいです。
(PCカメラ専用機でも高いものは結構しますからね)
スタイリッシュなWebカメラとしてネットミーティング等に活躍してくれるでしょう。
あと、SPYZにはセルフタイマーもついていますが、意外にeyeplateにはこの機能もありません。


<画像で勝負>
さて、ようやく肝心の撮影画像の勝負ですが、例によってあまりまともなサンプルがないので、一発勝負的な
比較になっていますのでご承知置きください。
腕の良い方がちゃんとした環境で撮影すれば、当然異なった評価になると思います。

10.室内近景
まずは室内撮影。

SPYZ

eyeplate

暗めの室内(ちなみに駒込のドトール)という環境は普通のデジカメにも辛い条件ですが、フラッシュ無し
の両機種ともにそこそこ頑張っています。
...が、フレーミングが合わねえ!
被写体がすんなりフレームに収まってくれません。特にeyeplate、なんとかしろ!
そのたびにUSB接続してノートPCに転送して...の繰り返し。
こんなに山勘の必要なデジカメだとは思いませんでした。

ちなみにお手本のPSP90IS。
条件を合わせるためにフラッシュ焚かなかったんですが、いやーー手ぶれ補正は凄いなあ。

尚、デジカメ4台をとっかえひっかえしながら小1時間も粘っていた私がお客さんお呼び店員さんの好奇の
視線を集めていたのは言うまでもありません。
いや、ほら、私の部屋狭いし。蛍光灯切れてて暗いし.....(換えろよ)

11.屋外遠景
遠景はいつもの定点撮影です。
各機種レンズの仕様も全然違うので一応似たようなフレーミングになるように写したつもりです。
この水タンクも見慣れた風景となりつつあります。

SPYZ

eyeplate

こういう漠然とした遠景はさすがにeyeplateもフレーミング大狂いすることはなく、割とすんなり写せ
ました。
右手前の茶色い建物を見ていただけるとわかるように、eyeplateは周辺部の画像がかなり湾曲して
います。
これはワイド寄りのレンズに多い傾向らしいのですが、確かにeyeplateは(位置あわせが狂いまくる
のは別にして)フレーミングした画像よりもかなり広い範囲が写ってしまう困った習性がありますので
そういうワイド寄りのレンズなのかも知れません。
SPYZは比較的素直ですよね。


SPYZ

eyeplate

部分拡大は水タンク付近だけグラフィックツールで約3倍(ホームページ掲載画像換算の6倍)に拡大
してみたものです。
SPYZは保存画像がビットマップなのである意味ディテールの再現には有利なのに比べて、eyeplateは
データ転送時にJPEG変換してしまうのでエッジが丸められた上にモアレってます。
とはいうもののココに掲載するにあたってJPEG変換しているので、結局SPYZの方も激しくモアレって
しまっている
のが残念。


尚、お手本はOptio430で、いやーー400万画素は凄いなあ...と大人気ない比較をしてみたりして。
(苦笑)

12.マクロ撮影
撮影距離のカタログスペックは
SPYZ:50cm〜
eyeplate:60cm〜
というわけで、10cmの差がありますが実態はどうなんでしょうか?

SPYZ:近すぎ

SPYZ:合焦限界距離


eyeplate:近すぎ

eyeplate:合焦限界

......だからなかなかフレーミングが合わないんだってば!!
結論から言うと、距離云々よりどちらもマクロ撮影には向きません。
大きな事務机に被写体を載せて1.5m位の距離から机の上を匍匐前進で進みながら10cmおき程度
にシャッターを押していったのですが、ほぼ公称どおりの距離にならないと被写体にピントが合ってません
でした。
(寄りすぎの写真、後のドアノブにピントが来てるのがわかります)
これじゃマクロ撮影とはいいませんよね。どっちも負け。


お手本はE950で流石の近接2cm、いやーー本職のマクロは凄いなあ...と大人気ない意地悪ばっか
やってますね。

印象的には明るいSPYZと沈んだ色合いのeyeplateと言えるでしょうか。
ただしSPYZは明るすぎて白飛びしちゃってる部分も多く、そのへんは「Autobrite(TM)機能搭載センサー」
のeyeplateが我慢強い描写を見せてくれています。
全体的な評価はほぼ互角で、あとは好みの世界ということになるんじゃないでしょうか。


<転送ソフトで勝負>
最後におもちゃデジカメには必須の転送ソフトの比較です。
といっても実はeyeplateなんかはTWAIN転送が使えたりして、ドライバさえあれば転送ソフトいらない
ともいえるんですけどね。

13.転送ソフト
まずは画面から。

転送ユーティリティ「Che−ez!Manager」

転送ユーティリティ「eyeplate Photo Album」

PCとの接続はどちらも専用の転送ソフトを使ってUSBで行います。
ソフトの使い勝手は甲乙つけがたい(というかたいした差がない)のですが、「eyeplate Photo Album」
の方は、メーカであるAXIAのホームページに行ってもダウンロードサービスがありません。
SPYZは他のChe−ezシリーズと共にNHJHのダウンロードサイトがかなり充実しています。
このへんのサービスの取り組みには企業の本気度が出ますよね。
ここはSPYZというかNHJHの気合勝ちとしましょう。


<総合判定>

これまでの得点結果(そんなのあったっけ?)を表に纏めると以下のようになります。

SPYZ   eyeplate
コンパクトさ 10
外見と質感 10
軽さ 10
CCD
ファインダー −500
背面液晶とボタン類
メモリ −500
電池
その他の機能 10
室内近景
屋外遠景
マクロ撮影
転送ソフト他(含むサポート)
総合得点 −432 −432

おお、なんと奇しくも同点です!!この対決、両者痛み分けということで.....
って、あ、そこ、石をなげないで。


<改めて所感など>
玉虫色の結論は私の中のデジカメ正義が許さないので、きちんと決着を着けておきたいと思います。
普通に持ち歩くデジカメとして考えた時は、SPYZの「電池なくなるとデータが飛ぶ」という仕様は致命的だと
思われるのですが(現に最近までそう思っていました)、デジカメ母艦として小型ノートPCを持ち歩くように
なったことで実はその欠点も補うことができるようになっており、私的にはノープロブレムになりつつあります。
eyeplateはその薄さとフラッシュメモリの搭載でポイントを稼ぎましたが、フレーミングが合わない等の基本的
なデジカメとしての機能で弱さをさらけ出してしまいました。
SPYZというかChe−ezシリーズにはメーカーサイトの充実も含めて、おもちゃデジカメをおもちゃに終わらせ
ないというNHJHの意気込みが感じられます。(いや、ハズレも多いんですが)
小売店の販売価格ではSPYZ:約¥8000、eyeplate:約¥10000と約¥2000の差があるので、価格的
にもSPYZの方がアドバンテージを持っています。
いろんな見方があると思いますが、個人的にはこの勝負、SPYZの勝利としたいと思います。


<感想追記>
ちなみに両機とも輝くMade in CHINA
中国人って凄い。


2002年5月



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